THE LIFEFUMIO TAKASHIMA
商売古今東西|2026.9.14NEW

商売も見た目だよ、いや見た目こそが商売だ

もう10年くらい前の話になるが、社会人セミナーの講師を受け持っていて、生徒はほぼ一流企業の社員だった。10回位の講義の最後に卒塾課題を出し、新規事業をプランさせたことがある。その時に自分はハッキリと世の中の問題点を見た。20人ほどのクラスだったが、ほぼ全員のプレゼンが着眼点→マーケットの現状と問題点→問題解決策→仮説→事業構想までは完璧だ。つまり理屈は正論でロジックは合っているのだ。そして「お、なかなかいいね!で、具体的にはどんな商品(サービス)?」ってなった最終段階でビジュアルを見た瞬間に「えー、これ?」となり、「これじゃあ売れないなぁ…」となるのである。理由は「カッコ良くないから」の一言だ。それには理屈は無い。いくらロジックが合っていても最後にグッとくるかどうかは見た目だ。そこに対するエネルギーが足らないものは売れない。実際に生活者の購買心理の中はほぼロジックでは動いていないからだ。まずは「あら素敵ねえ」があるから手に取るわけで、そのファーストステップをクリアしないと次のステップにいかない。それをクリアしないのにいくらロジックで攻めても共感を得ない限り買う買わないの決定権はお客さん側にある。

世の中では毎日新しい事業、ブランドなどの新規プレゼンが行われている。最終的に決断を下すのは部長や役員クラスなのかもしれないが、最後は「いけてる」かどうかが全てだと思う。もちろん決定者の個人的フィルターではなく、その商品やサービスを受ける側のフィルターでだ。

様々な提案やプレゼンを受けてきたし、世の中を見てきたつもりだ。「いけてないなぁ」と思うモノでも世の中に出てしまうことは多々ある。しかし、そういうものが成功した話は聞いた事がない。今朝もたまたま以前からイケてないなぁと思っていた商品が目に入り、その会社を調べてみたら多額の累損をかかえていて倒産も近いだろうなぁと思ってしまった。デビューした時から「こダサいなぁ」と思っていたがやはり…。

そして、おそらく世の中に新しくデビューする商品やサービス、あるいはスタートアップの99%は没ってゆくのだ。それは旧態依然の大企業ほどその確率は高い。何故かというと「イケてる」という価値観を持った人が少ないというよりも決定プロセスがロジック中心の仕組みになっているからだと思う。また決定者がわからないからと言って「好きにやってみろ」というのも責任放棄だ。無駄銭を使うことになる。トライ&エラーはある程度は仕方がないかも知れないが、成功の確率は上げなくてはいけない。

イケてる?イケてない?