ねこまんま

俺の本棚には、割と古い本が並んでいる。というか流行りの本は捨ててしまうからだ。そんな中に「おとなのねこまんま」という本がある。なんてことはないご飯の上に何かを乗せてかき込むというレシピ本だ。思えば中高校生時代は部活を終えて家に帰ると晩めしまで待てないくらい腹が減っていて、朝の味噌汁や、昨晩の残りの野菜の煮物などをご飯に乗っけて食べていたが、その類である。しかし、この本はあくまでレシピ本なので、ただのぶっかけめしではない。「ホタテ缶とクリームチーズのねこまんま」とか「春雨サラダのタイ風ねこまんま」とか手の込んだものが載っている。しかし、これは見ているだけで楽しいのであり、人には人それぞれのねこまんまがあるんじゃないかと思っている。かくいう俺の3大ねこまんまは「ポテサラねこまんま」「プルプルカレーねこまんま」「煮凍りねこまんま」だ。共通している点は必ず熱いご飯に冷たいものをものをのせるという事だ。ポテサラは熱いご飯を蓋をするように1センチくらいの厚みでのせる。それに醤油をひと回しかけ、冷たいポテサラと熱いご飯が口の中で混じり合うように食べる。これが旨いのなんの。つまりポテサラは昨夜の残りを冷蔵庫で冷やしてなくてはいけない。これに次いで、昨夜のカレーも翌朝になってみるとプルプルに固まっている。これも同じように熱いご飯にそのまま乗せて、じわーっとカレーが溶けていく様を楽しむのである。これもなかなかオツなものだ。煮凍りに至っても同じで、魚の煮汁がコラーゲンで固まっているのがご飯にだんだん染みていくのがたまらない。そしてこれも子供の頃の忘れられない味なので、たまにカミさんのいないところ年に1、2度食う時があるが、「マヨネーズおかかねこまんま」だ。マヨネーズ、カツオ節、醤油という黄金トリオで完璧だ。これは茹でたてのスパゲッティに混ぜても美味しい。ジャンクなのであまり人様には見せられないが、椎名誠も絶賛していた。ま、江戸時代あたりはそんなメシばかりだったんだろうが、味噌汁をかけて食うのも旨いし、ましてや残り物ゆえに出汁を取る為に入れたジャコがいっぱいあったりすると嬉しいものだ。
まぁ、家族はそんなメシは食わないが、俺にとっては節約とか粗食とか、そんなんではなく郷愁の味なのだ。幼い頃の昭和の景色を思い出しながら食っている俺なりの幸せがそこにはある。