ジジイは怒っている

朋友、デザイナーの森田恭通くんが写真家としてパリのヴェルサイユ宮殿の写真展をヴェルサイユ宮殿で5ヶ月間にわたり12月から行うことが決まっている。ヴェルサイユ宮殿はルーブル美術館やオルセー美術館などと並びフランス政府の持ち物である。つまりフランス政府が公認した写真家森田恭通の写真展が行われるというのは前代未聞の素晴らしいイベントだと思う。今までに伊勢神宮を撮ったりしてきた実績が認められてのことだが、なんとこれに日本の政府は全く関わらないのである。国の言い分は「個人に国はサポートしない」というスタンスらしい。だから結局草間彌生も、村上隆も海外から認められてきたが、国は何も彼らにしなかったわけだ(外国の方が評価している)。しかしだ、片や国はクールジャパンという訳のわからない団体を作り、累計で540億円という損失額を計上している。これは海外への影響力のある企業相手の投資ファンドみたいなものだが、見極めも的確な指導もできない連中がそれだけの税金の無駄遣いをしているのにだ。
話は変わるがシドニーの空港のカンタス航空ラウンジはオーストラリアの代表的デザイナー、マークニューソンがデザインをしている。しかし、日本の空港が安藤忠雄や隈研吾などの日本人有名建築家が設計したという話は聞いたことがない(関空はフランス人のレンゾピアノだ)。建築だけではなく、インテリアも全く国内の著名なデザイナーが起用されない。従って日本の玄関口羽田空港は世界でもショボい空港の一つだ。なぜ国は世界的な力のあるクリエイターを応援しないのかがわからない。元々日本の文化予算も先進国に比べたら低いのだが、今の日本で誇れるのは文化力だ。世界を舞台に活躍している日本人クリエイターは多々いるが、みんな彼らの個人の努力で勝ち取ってきた力だ。もちろん国が支援するとなると公平性や支援の判断基準が要るかもしれないし、それは当然だろう。しかし、今は判断する能力を持ち合わせていないからやらないようにしか見えない。事実クールジャパンを担当していた人達は全くクールじゃなかった。もちろん独自の力だけでユニクロや無印良品が世界的企業になっているのを見れば、決して国のサポートが必ず必要という訳ではないが、国がやれることをもう一度考えれば、日本のポテンシャルがもっと上がることにつながる。
昨日、今の日本は四面楚歌だと書いたが、文化は世界に自慢出来る力だ。数千年にわたる先代達のおかげで培ってきたものだ。何故その力を使わないのか不思議でならない。自分は工芸の未来を形にし海外で発信したいと思っている。それは日本人としての自分の宿命のような気がするのだ。森田くんやユニクロ、無印良品など様々な個人や企業が健闘していることに国が乗じればいいではないか。実績が無いのに応援しろとは言わないが、せめて成功していることを国の財産として評価をすることぐらいできるはずだ。政治献金の多い業界団体などへの便宜だけではなく、もっと日本の宝をアピールするべきだと思う。